抜刀動作について

2011年5月22日に掲載した記事「リハビリ中に抜刀」の中の私の動画に関して、過日ツイッター上で他流派の方々を交えての居合談義となったのだが、私の浅学さ故に謎が残った。

そこで、剣友会での稽古の際に先輩方に質問し、詳細をご教示いただいた。

対象の動画は以下のものである。

ツイッター上での議題で謎が残ったのは、「居合腰になったときに鞘を引き出して構えているが、それはどうしてなのか?」という内容であった。

それに関する内容に触れる前に、前提として以下の内容を記載しておく。

 

動画で抜いているのは、大阪剣友会で無外流や竹明流などの刀を習い始める際に、一番初めに習う基礎訓練的な三本の業で、「基本の三本」と呼ばれている。

「抜き打ち」「十文字」「逆袈裟」の三本で構成されており、刀の基本的な抜き方が網羅されている。

この動画を撮った時、左手首骨折回復のためのリハビリを始めたばかりで、左手でしっかり柄を保持することができなかったため、「十文字」「逆袈裟」のニ刀目は省略して稽古している。

また、痛みで鞘の操作が行い難かったため、必要以上に鞘を引き出してしまっているので、それが目立ったのかも知れない。

そして大前提として、私は極めて初心者であるからして、下 手 で す よ ー 。

 

・・・ゴホン。

以上の状況をふまえ、肝心の内容の方に移る。

大阪剣友会では無外流でも竹明流でも共通して、構える際は鞘を引き出して鯉口を抜く方向に返す。

教えの内容によると、鯉口を返すのは無外流の特徴。

また、鞘を少し出すことに関しては、構える際に自然と出るので、他の流派でも少しは引き出しているはずだとのこと。

つまり、大小の差はあれ、構えたときに鞘は引き出されているということらしい。

そして肝心の鞘を引き出す理由についてだが、鯉口を返すことと合わせて様々に教えていただいたが、まとめると以下のようになった。

 

1.素早く抜刀する。

予め鯉口を抜刀方向に返しておくことにより、鞘を捻る動作なしで一直線に早く刀が抜くことができ、抜刀後の振りの速度も速い。

刀の軌道が読まれやすといういリスクはあるが、早さと気迫で押し斬るようにするとのこと。

また、鞘を引き出して、正中線に近い位置から鞘側と柄側に均等に抜刀していくことで、鞘放れの際に体を左右に開きやすくし、抜刀の勢いを高める。

2.正中線を防御する。

鞘を引き出し、鞘と鍔を正中線上に持ってくることによって、正中線周辺を防御する。

おそらく、抜刀動作を中断して柄での防御動作に移行するのも、こちらの構えの方が有利だと思われる。

 

以上が今回の談義に関する回答である。

また更なるご意見があれば、後学のためにも頂戴したい。

左手の調子もずいぶん良くなってきたので、前述の「基本の三本」に関しては、再度撮影して掲載してみようと思う。

以上っ!寝るっ!


抜刀動作について」への9件のフィードバック

  1. 私のところでは、初期状態が鍔が一コブシ分袴から離れたところ(制定では柄頭が正中、古流では鍔が正中)で、抜きつけの際そこからさらに鞘を前方に抜き出してはいないですね。いないと思います、多分いないだろう。笑
    鞘引きのことはものすごく言われます。抜きつけの勢いは鞘引きでつけます。右での動作とほぼ同じだけを左でもすること、と。

    抜きつけは制定では正中にある柄頭をそのまま敵の方に向かって攻めながら行います。
    夢想神伝では鍔が正中にあるので、柄頭はもうちょっと自分の右に向いている形になり、抜きつけはそこからさしなりに行います。これは右コテを守るためと習いました。

    いや、このトピック書き出したら幾らでも書けるよなー。
    んめさん、田宮流の抜きつけも書いてください~。

  2. ふーむ、そうなんですかー。

    俺がひそかに思ってたのは、
    鞘ごと大きく前に出すのは抜刀の稽古のための技、抜き付け・鞘引きの練習のためのやり方ちゃうんかなーと思ってました。
    基本の3本やし。

    でも無外流はすべてこういうやり方なんですよね?
    読みが外れたなあ・・

  3. ど素人な私が意見できないのですが

    陸さんの意見に激しく同意。
    鞘引きのことはものすごく言われます。抜きつけの勢いは鞘引きでつけます。(陸引用)

    これ、稽古のたびに半端なく言われます。ハンパないっす。

    てか、私が鞘引き超へたくそだから。(てか、帯の締め方が甘いから)

    勉強になります。先輩方。

  4. ちゅんちゃん、

    帯締めなかなかうまくいかなくて、去年からこの本に載ってるhttp://ec2.images-amazon.com/images/I/5121P7HWQ7L._SS500_.jpg 片バサミのバリエーションみたいなのにしたら緩まなくなったよー。1日でも持つ。
    それに平たいので袴姿がすっきりします。

    ちなみに本で演武されている小倉先生はとてもいい先生だそうです。
    お会いしてみたいがなかなか遠いので、ちゅんちゃん機会があったら稽古受けてみてください。w

  5. >陸さん

    当たり前といえば当たり前なのですが、制定と古流でも異なるのですね。
    勉強になります。
    個人的な感想ですが、私とは他流派とはいえ、やはり古流の方が理合的に納得がいくというかシックリくる感じがします。
    鍔と柄頭の位置に関しては、そこまで厳密な位置取りを聞いたことはなかったです(単に私が忘れているだけかもw)。
    こんな良い機会があって、流派を超えて交流できるのはほんと嬉しいですね。
    もっともっと勉強していきたいと思います。

    私は角帯を使ってないので解らないのですが、帯の締め方で鞘引きが変わる?
    一見逆のように思えるのですが、甘いほうが鞘引きしにくいということすか?

  6. >鬼ノ下さん

    間違いなくそういう要素はあると思います。
    ただ、うちの会では全てこの感じで抜きますね。
    あとはたぶん個々人の力量とか癖によって異なってくるのではないかと思います。
    とりあえず私はまだ憶えたてなので、参考にならない可能性もあるかも知れませんねw

    無外流はの特徴は鯉口を返す部分なので、鞘を引き出すのはその限りではないようです。

    田宮流のもブログに書いてほしいな~wほしいな~w  ほ  し  い  な  ~  w

  7. >ちゅーんさん

    やはり、鞘引きの件はどこでも同じようですね。
    何故かこの記事には書きませんでしたが、鞘引きに関しては、私も非常に注意される項目です。
    時には格闘技(空手や中国拳法の突き)の両腕の連動性を例に教えてもらうこともあり、非常に面白いです。

    写真で見た時の鞘変な方向いてるもんなぁ・・・w
    あっ!あっ!笑ってたからだよねっ!普段はそんなことないよねっ!

  8. 制定は色んな流派が集まって「制定」されたものなので、どこの流派にも偏らないようにと全般に中間的な動作を採用していると聞きました。
    礼法なんか初めが夢想神伝で終わりが直伝なんだよ。(ビデオ参照。良く見ると初めと終わりでつばにかけている指も違います。)笑
    しかし制定としての理合はそれでそれであり、全体に身体は敵に正対、抜きつけや柄頭の方向は敵に向かって攻めるのが原則です。…と、習っています。

    本に書いてない部分は、先生の解釈が入りうる部分。
    さらにいえば、そのときの剣道連盟居合委員長の先生の解釈に従うという部分だったり。

    帯の締め方で鞘引きが変わるというか、ちゃんとしめてないとそもそも刀の位置と角度が一定しませんよねー。くびれのある女子は、帯の位置が動いちゃったりするので、帯締めがちゃんとできるようになるまで結構苦労するんですわ。

  9. >陸さん

    なるほど、確かに制定の発祥の課程を考えると、寄せ集め的な感じになるのは仕方がないことなのかも知れませんね。
    各流派の政治的な動きは当然あったでしょうし・・・
    ただ、教本が定められているというのは現代武道の良い面でもありますね。

    刀に手を掛ける前の刀が安定しないということですね。
    私も帯の締め方が甘い時は、鞘側が下がってきて、いわゆるヤクザ差しっぽくなってきますw

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